石油元売り大手3社のエネオス・コスモ石油・出光昭和シェル|明暗分かたれた個人向けカーリース事業への参入

石油元売りによる個人向けカーリース参入は「2勝1敗」

カーリース業に参入する石油元売り

 

2019年4月1日に出光興産と昭和シェル石油が経営統合したことにより、国内石油大手が「JXTGホールディングス」「出光昭和シェル」「コスモエネルギーホールディングス」の3社体制に集約されたことは記憶に新しい。

しかし業界再編の陰に隠れ、石油元売りの国内最大手であるJXTGエネルギー株式会社(以下、JXTGエネルギー)が、2019年6月をもって、個人向けカーリース事業から実質上撤退していたことを知る人はごく僅かだ。

それ以前に、そもそもJXTGエネルギーがカーリース事業を手掛けていたことを知る人も少ない。

石油元売りによる個人向けカーリースと言えば、コスモ石油マーケティング㈱の「コスモスマートビークル」と、出光昭和シェルの「オートフラット」が台頭しており、取扱い台数についても着実に実績を積み上げている。

 

コスモスマートビークルコスモスマートビークル
オートフラットオートフラット

 

SSでは給油だけでなく、車検や洗車・軽度な修理など、整備士によるメンテナンスも同時に受けられるため、税金や自賠責保険が月々のリース料に平準化されているカーリースと組み合わせることにより、車を持つことで発生する手間を大きく省くことができる。

カーリースとSSの親和性は非常に高い前提にあるが、なぜSS拠点数で最大の規模を誇るエネオスブランドがカーリース参入に苦戦しているのだろうか。

 

JXTGエネルギーは、旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油の統合により、2017年4月に誕生したJXTGホールディングスの傘下の事業会社である。

同社が展開していた個人向けカーリースは「Drivers’Linkカーリース・ライト」という名称で、2016年から全国のSS店舗で販売されていた。取組自体は旧東燃ゼネラル石油の時代にスタートしており、当時はEMGカーリースという名称で、全国のエッソ、モービル、ゼネラルマークのサービスステーションで取り扱われていたという。

自動車リース大手のオリックス自動車㈱と提携しており、全国1000か所以上に及ぶSSでメンテナンスにも対応できるため、長期契約におけるカーライフサポートの体制もしっかり整っていた。

 

ドライバーズリンク カーリース・ライトDrivers’Linkカーリース・ライト

 

EneJet「EneJet」は、ENEOSのセルフサービスステーションブランド。

かつてはExpress(エクスプレス)と呼ばれ、エッソ、モービル、ゼネラルの後に名称が付いていた。

 

明暗を分けた個人向けカーリースウェブ化対応の差

ウェブ化

 

コスモ石油と出光昭和シェルが”二人勝ち”し、JXTGが苦境に立たされているのには、いくつかの要因が考えられるだろう。

まず、旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油の統合タイミングが、ことカーリース事業において、最適とは言えなかったことにある。

2016年に旧東燃ゼネラル石油がカーリース事業に参入してから、わずか1年弱での統合となったことにより、旧EMGカーリースの認知向上に思わぬ冷や水が浴びせられたほか、各SS店舗における個人向けカーリース販売オペレーションも未成熟のまま、看板だけが差し代わることとなった。

エッソ、モービル、ゼネラルマークのSS店舗の従業員ならまだしも、エネオスのSS店舗の従業員にとっては、カーリースのメリットや仕組みについて理解するだけの時間も余裕も、満足に与えられなかっただろうことが推察される。

統合によってカーリース参入の出だしが挫かれたことが一つ、そしてより深刻だったのが「個人向けカーリースのウェブ化に対応できなかった」という経緯がある。

業績を上げているコスモ石油と出光昭和シェルは、ネットで見積りから申込まで簡単に行うことのできる見積サイトを自前で展開している。

コスモ石油は「コスモスマートビークル」、出光昭和シェルは「オートフラット」というウェブサイトがそれに該当する。

※オートフラットは住友三井オートサービスの「カースマ」の機能を応用。

 

コスモ 見積画面コスモスマートビークルの見積り画面
オートフラット 見積画面オートフラットの見積り画面
いずれも見積り可能な車種は国内全メーカー・全グレードから選択することができ、メンテナンスプランも豊富(メンテン付帯無しから、フルメンテナンス対応まで)。オートフラットにおいては、メーカーオプションも任意に選択することが可能となっている。
これに対し、JXTGエネルギーの「Drivers’Linkカーリース・ライト」は、基本的にSS店頭での販売を中心としており、固有の見積サイトを開設するには至っていなかった。
辛うじて、当時提携していたオリックス自動車のウェブサイト「カーリース・オンライン」に誘導する仕組みはあったものの、期待した結果に届かなかっただろうことは今年6月の提携終了の経緯から察するに余りある。
カーリース・オンライン トップ
オリックス自動車のカーリース・オンライン
「コスモスマートビークル」、「オートフラット」ともに好調に業績を伸ばしている現状を踏まえ、JXTGエネルギーが再び個人向けカーリース市場へ参入し、本格的にサービスを展開させることも十分に考えられる。
石油元売り業を取り巻く昨今の情勢としては、電気自動車やハイブリッドカーの普及で自動車の燃費が向上し、ガソリンの需要そのものが無くなりつつあることや、減少の一途を辿る給油所の拠点数、そのほかにも長期化する米中貿易戦争といった世界経済の動きも、原油相場を圧迫し、原油価格を下落させる要因となっている。
先行き不透明な国際石油市場へのリスクを考えれば、石油元売り業以外で新たな収入源を開拓することは、国内石油大手3社にとって急務だと言えるだろう。
堅調に成長している個人向けカーリース事業がその中核となるか、今後の動向に注目が集まっている。
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